開発者メッセージ

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中尾 彰宏  (医師)
ドクターズモバイル株式会社 代表取締役、Hacker’s Barオーナー

本当は実現したい、を叶える一歩に

医師とエンジニア、二つの視点でモノづくり

私は医師でありアプリケーション開発のエンジニアでもあります。経営するドクターズモバイル(株)の事業では医療機関向けに「おみやげカルテ」というツールの提供を行っています。これは【患者さんが持ち帰りたい情報】と【医師がこれだけは伝えたい情報】を1枚のカードにしてお渡しするサービスです。

また、優秀なコーディング技術を持ったプログラマー(ハッカー)がお客様を楽しませるプログラムを即興で書き上げながら接客をするHacker’s Barの経営も行っています。

ゲーム感覚の楽しさが患者さんと医療を結ぶ

このアプリは、患者さんが「本当は実現したい」と思っている希望や夢をゲーム感覚の楽しさによって言語化し、介護スタッフや医療者、ご家族と分かち合うきっかけを作ります。患者さん自らの手でホスピタリティの高い療養生活の設計をする姿は、超高齢社会を迎えた日本がICT技術によって実現する新しい医療の象徴といえるのかもしれません。


考案者メッセージ

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宮﨑 詩子 (介護生活コンサルタント)
一般社団法人ダイアローグ・メソッド・アソシエーション代表理事

家族が崩壊しないための意思決定支援

皆、すれちがっている

20代の私が認知症の祖母と暮らしていた時、介護の目的は「本人らしい生き方の実現」でした。関係者は一生懸命ですが、本人の気持ちや考えとズレていれば私が調整をします。 意見調整が失敗すると、介護が嫌になり家族関係も悪くなると感じました。これは多くの人が直面する悩みだと感じました。

私の成功をコピペしてシェアできたらいいな

講演では成功のプロセスをグラフや図に表現しています。家族会議成功の法則を描いたマトリクスは、市民にも医師にも好評でした。専門職向け研修の思考実験ツールにも使っています。

構想3年、すれちがいパレット誕生へ

アプリケーション化はすぐにでも実現したかったのですが、個人の暮らしでも使えて医療介護現場でも使える共通アプリにまとめることは難航し3年かかりました。価値観の思い違いに気づき、楽しい療養生活に役立てると嬉しいです。

パレット誕生秘話

書き手:宮崎詩子

開発者との出会い

中尾さんとは2015年11月に開催されたMEDプレゼン2015というイベントにそれぞれプレゼンターとして参加していたことがきっかけで知り合いました。「参加する医療で、社会を良くする」をテーマに活動をされている一般社団法人チーム医療フォーラムの主催です。5分~10分の短時間のプレゼンでしたが、取り組んでいる事業内容や創り出そうとしている世界観に共感し興味を持ちました。その日は名刺交換と挨拶をしただけでしたが、翌日丁寧な感想メールをいただきました。

とりあえずビールを飲みながら

image私は、【おみやげカルテ】=【直近の未来に関連する資料】は広まる必要があるなと思っていました。高齢者はもちろんですが、育児、介護、超過勤務…多忙すぎるとネット検索での情報収集自体が困難です。どんな仕組みなのか?どこで手に入るのか?知りたいことは色々あったので「とりあえずビール飲みに行きましょう」と返信し(笑)、中尾先生が運営するHacker’s Barでビールを飲むことになりました。

「具体的にはどんな仕事なのですか?」というごく初歩的な話に始まり、これから実現したいことの話でおしゃべりは尽きません。ほとんど私が話していた気もしますが…。そして余興に持って行ったボードゲーム版の試作品パレットが面白いね~と言う話で盛り上がり、アプリ化してみようよ!ということになりました。ハッカーズバーはライブコーディングやコーディングのおしゃべりを楽しめるお店なのです。

アイデアソンイベントで具体化

imageその後、12月に京都で開催された2日間のアイデアソンイベント(第11回ヘルスケアハッカソン「認知症との共生」)で、認知症の方とのコミュニケーション用アプリとして原型が誕生しました。この時は現役の名古屋市立大学薬学部生の服部肇さんも加わった3人チームでコンセプトの練り上げ、コーディングをしました。服部さんは前日まで岩手県石巻市の在宅医療の現場で研鑽をしてきた帰りでした。そこで体験した在宅療養の実像をベースに利用イメージのモデルを作り上げることにしました。そして、このプランは審査員賞をいただくことになりました。
(写真右は中尾氏が経営するかき氷専門店けずりひや京都祇園の抹茶セット)

その後はお互いに本業が多忙なためSNS等を使って、コンセプトや仕組みの整理をしていきました。時にはHacker’s Barでコーディングとミーティングを肴にビールを飲むということもしました。遊び心から生まれたアプリのクオリティがどんどん上がっていくのは本当にワクワクする出来事でした。

D-Methodのモノづくりイベント開催

今度は、D-Method主催のモノづくりの少人数イベントクリエイトソン☆ケアとアートの創発にこのアプリを使ったらどんなことができるだろうか?というテーマを持ち込みました。理学療法士(PT)や薬剤師が中心になってモデル事例「70歳の糖尿病お父さんのためのデート応援プラン~薬とリハビリ~」を作りました。アパレル系出身でイラストが描けるメンバーも加わり、それぞれが役割分担をしながらストーリーを展開させていきました。これは「すれちがいサポーター養成講座~お薬編~」の研修プログラムとして完成しました。

imageクリエイトソンは35歳以下が主役のイベントです。参加費は10,000円と高いのですが、朝からアトリエに集まって1日中自由にものづくりをします。美味しいランチと打ち上げのお酒付、さらに宮崎詩子をアシスタントとして使うことができます(笑)35歳以上も参加できますが脇役として主役のサポートに徹することが条件で美味しい手土産付きで参加が可能です。業種を超えて個性豊かな新しい友人が出来る場でもあります。

社会の課題を解決するサービスを誕生させる方法

さて、本当に優れた製品やサービスを作るのに必要なものは何でしょうか?
新規事業をしたくて異動を希望したり、転職をしたり、起業したりする人も多いと思います。そして、企画し予算を獲得し人材を集めて…という順番が一般的です。つまり、資本を出してくれる相手を見つけることが重視されています。

ところがこのアプリ開発に関わったメンバーは皆、自分の余暇の時間を使い、参加費や滞在費を支払いイベントに参加していました。さらに、このプロジェクトに対し真剣に自分の技能を注ぎ込みました。職場ではそれぞれ一流の仕事や勉強をしている人達です。

予算があれば色々なことができるのでお金は便利です。でも、必須アイテムは、実はお金ではなくPassion-情熱-だと思っています。お金を必須アイテムだと誤解してしまうとせっかくの情熱も、拝金主義にかき消されてしまうので危険です。

人と人のつながりから生まれたプロボノアプリ

実は私には密かなこだわりがありました。それは制作途中でいがみ合いや喧嘩が起きないことです。これも実現しました。このアプリは療養生活のHappinessを見つけて欲しい!という純粋な気持ちだけで出来上がっています。療養中は気持ちが落ち込むものです。だからこそ生活雑貨を【幸せの塊】で埋め尽くすことが大切です。自信を持って提供できることを嬉しく思います。

プロジェクトの今後

まだまだ実現していない【この先の展開】があります。今も成長し続けているプロジェクトです。新たな参加者の登場と共に新しい扉が開かれることを楽しみにしています!

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このアプリ&サービスを作った人々

宮崎詩子
中尾彰宏
服部 肇
糟谷明範
江口真由
稲森彩香
宇杉英子
横山直子
宮崎かの子

Hacker’s Bar
D-Method

MEDプレゼン2015
第11回ヘルスケアハッカソン
クリエイトソン☆ケアとアートの創発